「湯沸かし器が壊れたから新品と交換・設置したい」、「自宅に置ける新たな湯沸かし器を使いたい」というときに、自分で取り付け・取り外しができないか気になる方も多いのではないでしょうか。
簡単に設置するくらいなら自分でもできそうですが、実際はとても危険な資格のいる作業です。知らないうちに危険なことをしないためにも最低限の知識は必要です。
そこで、自分で取り付け・取り外しできない理由や業者依頼がおすすめなわけ、費用相場や給湯器の違いについて解説します。
最後によくある質問の回答も用意したので、この記事を読めば湯沸かし器を交換する前に知っておきたい知識を身につけることができます。
湯沸かし器の取り付け・取り外しは自分でできる?
結論から述べると、湯沸かし器の取り付け・取り外しによる機器・設備の交換は、基本的に自分ですることはできません。その理由を説明する前に、簡単な手順を解説します。なぜ安易な交換作業ができないのか、手順の内容からもよくわかるはずです。
湯沸かし器の交換手順は以下です。
(1)ガスや電気、水道の電源を切っていき、配管を外して湯沸かし器の設備を順に取り外す。
(2)次に、取り替える湯沸かし器の本体をその位置に運び込み、大きさ確認や配管の伸長などをして確認が取れたらビス止めや固定作業をする。
(3)配管をつなぎ、水とガスを通す。
(4)周囲や壁の施工をしたら設置完了(風呂用には先に壁にリモコンを設置する)。
無資格だと取り付け・取り外しできない
以上の手順から分かる通り、各所で専門的な技術や知識を必要とするのが湯沸かし器の交換作業です。ガス、水道、電気を扱うことは作業者にとって危険を伴います。そのため、資格のない人が日曜大工感覚で行うととてもリスクのある行為であり違法です。
特にガスは危険物として扱われているほどで、漏れると高確率で生命にも関わる事故を起こしかねません。通常は、無資格で設置作業を行うことができず、有資格者のみに許可されています(参照:屋内のふろがま、湯沸器などの設置について 経済産業省より)。
LPガス機器である湯沸かし器の取り付け・取り外しに必須となるのが「液化石油ガス設備士」という資格です。
さらに、湯沸かし器の吸水を扱うために必要な「給水装置工事主任技術者」やガスに関連した資格で「ガス機器設置スペシャリスト」やガスホースの接続、ガス器具交換に必要とされる「ガス可とう管接続工事監督者」などもあります。これらを複数取得していることで、スキルと知識を豊富に持ち、安全に作業ができるのです。
他にも、湯沸かし器の設置に関連する資格は「ガス消費機器設置工事監督者」・「簡易内管施工士」・「TES工事士」などがあるでしょう。
以上より、自分で取付作業をするには最低でも「液化石油ガス設備士」の取得とその関連資格を取る必要が出てきます。
資格を取れば自分でもできるのは確かですが、10年に一度あるかどうかの設置・交換作業のために時間をかけて講習受講や資格を取得するのはあまりおすすめしません。
有資格の業者に依頼しよう!
本人が資格を有しておらず、一般の人が湯沸かし器の取り付け・取り外しをする場合には、上記のように有資格の業者に依頼することがベストです。
中小規模の業者の中には脱法状態で素人スタッフが取り付けるケースもあることから、業者チェックの際には、どのような資格を有しているのかを確認しておきます。あらかじめ、どんな資格が業者に必要かわかっていれば、確認も取りやすいでしょう。
「液化石油ガス設備士」などの資格は最低限のものであり、施工やリフォームに関連した資格はまた別にあります。そこに接客時のコミュニケーション項目のある「ガス機器設置スペシャリスト」などを取得していると、利用者にとって安心感が強まるなどスキル以外の面でも信頼感があります。
湯沸かし器の取り付け・取り外しの費用相場
湯沸かし器を取り付け・取り外しするには、業者に依頼して費用を払うことになります。そこで、業者に依頼した際の費用相場について、「取り付け・取り外し」と「取り外し」のみの場合にわけて紹介します。
取り付け・交換(買い替え)の費用相場
湯沸かし器の取り付け・取り外しは、業者が工事費として本体費用とは別に請求します。そのため、3~6万円程度が相場となります。
また、湯沸かし器に関連してガス風呂用の場合、追い焚きができる製品とできない給湯専用の製品では工事費に違いが出るのが一般的です。追い焚き機能のある湯沸かし器を取り付けるほうが配管工事が加わるため、1~2万円費用相場が高くなる傾向にあります。
同じ業者に依頼しても工事費用が違うことがあるのはそれが理由です。搭載する機能によって費用相場が違う可能性があることを確認しておきましょう。
取り外しのみの費用相場
湯沸かし器の取り付けをせず、取り外しのみを作業とする場合は、作業内容が大きく省略されるため、費用が安くなるのが一般的です。
目安としては5,000円程度です。1.5~3万円を請求するなど、それ以上かかる業者は、選ぶところから見直しが必要です。
なぜなら取付工事には様々な作業が入るため、数万円の費用がかかりますが、撤去するだけの場合は、取り外しと廃棄の費用がかかるだけなのが基本だからです。
依頼先の候補となる業者
取り付け・交換(買い替え)で依頼先の候補として挙げられる業者は、「キンライサー」・「正直屋」・「交換できるくん」など口コミ評価が高いところです。
交換の工事費用もあらかじめ決まっており、明瞭会計のため、よくわからない費用を後から請求されるということがありません。
(関連記事:ガス給湯器交換業者口コミ評判ランキング!どこに頼むのがおすすめ?)
湯沸かし器と給湯器の違い
「湯沸かし器」という言葉は台所やお風呂でお湯を出すのに使うイメージがありますが、「給湯器」という言葉も使われることがあります。しかし、湯沸かし器と給湯器にはその意味するところに微妙な違いがあるのです。
まず、湯沸かし器は上記のイメージ通りで、1箇所にお湯を供給する機器・設備を指します。例えば、「ガス瞬間湯沸かし器」や「小型電気温水器」です。
ようするに、小型で容量が小さくその場所でのみお湯を出せるという特徴があります。お皿を洗うためにお湯の出る機器を台所に簡易設置する場合に、導入されるのが湯沸し器です。お風呂場でのシャワー用に湯沸かし器を設置するという家庭もあるでしょう。
一方、給湯器は複数の場所で使用できる給湯用の機器・設備です。給湯器で水道や風呂場にお湯を出せるようにしていると、お湯をシャワーで出しながら、蛇口でもお湯が出せます。
そのため、性能の高い給湯器に比べると、湯沸かし器はお湯を連続で出せる容量が少なく、複数箇所では使えないというデメリットがあります。
湯沸かし器の取り付け・取り外しによくある質問
湯沸し器はそう何度も取り付け・取り外しをする機器・設備ではないため、あまり詳しくないという方も多いでしょう。そこで、よくある質問に対する回答し、交換時期の目安や設置できない場所について簡潔に説明します。
湯沸かし器の寿命や交換時期の目安は?
家庭用の湯沸かし器は、約8~10年が寿命です。それ以降は故障や不具合が起きても設計上仕方ないということになっています。
10年を過ぎてからも、さらに5年ほど使えることもありますが、「突然、故障する」ということもありえます。事故が起こるリスクも寿命から長く年月が経つほど高まるため、湯沸かし器は10年を目安に交換しましょう。
湯沸かし器が取り付けられない場所はある?
お湯が出る仕組みとしてガスを使っている以上、危険を避ける必要があり、湯沸かし器を取り付けられない場所があります。それはガスコンロの近くや浴室です。
不完全燃焼による事故の可能性が高まるため、それ以外の場所に設置することが求められます。もちろん、屋内設置のできる据え置き型の場合、浴室用に使える製品もあるため、浴室に設置できないというのは絶対ではありません。
基本的には、湯沸かし器の製品ごとに説明書で設置できない場所を把握しておくことが重要です。
湯沸かし器は今後なくなる?
湯沸かし器は小規模で簡易な湯沸かし用として広く使われています。ただし、近頃の住宅事情では、湯沸かし器を設置する家庭が減り、給湯器で住宅内のお湯を提供することが増えています。
そのため、すでに湯沸かし器を設置していて、その交換を続けている住宅を除けば、(あえて選択しない限り)給湯器を使う家庭が増えていくことが予想されます。実際、いまのところは給湯器の商品的な勢いが強まっており、湯沸かし器は下火状態です。
湯沸かし器の施工工事では、住宅リフォームや施設設備交換において一般的ではなくなってきています。今後なくなるとまではいえませんが、住宅の給油設備としてあまり一般的ではなくなるでしょう。
(関連記事:給湯器の2大メーカー比較!ノーリツとリンナイどっちがいい?)
まとめ
湯沸かし器は、ガスの配管接続に資格が必要な交換作業で、業者に依頼するのが最適です。
費用相場は取り付け・取り外しで3~6万円ですが、取り外しのみの場合は5,000円程度が相場です。10年の交換時期目安を参考に、設置場所なども確認して、故障する前に業者へと依頼しましょう。