お風呂の準備しているとき、あるいはシャワーを使っていて突然、「給湯器からお湯が出なくなってしまった」というとき、その原因や対処法を知っているか、知らないかで大きな違いがあります。
給湯器の点検や修理には専門業者が対処しますが、特に何も問題がないケースでも出張費や点検費などを取られるなどして費用的な損失が発生します。
しかし、自分で対処できるエラーや一時的な給湯機能の停止など、知っているだけで業者だけに頼らない解決策を講じることができます。この記事では、お湯が出ないときの原因や対処法について解説します。
給湯器のお湯が出ないときに確認すべき4つのこと
給湯器のお湯が出ないことに気づいたときは、以下の4点をまずは確認します。
- 水が出るか
- ガスはつくか
- 給湯器にエラーコードが表示されてないか
- 電気系統は問題ないか
水が出るか
給湯器のお湯が出ない場合に、最初に確認したいことが「水が出るかどうか」です。水が出てお湯が出ない場合には、給湯器の故障の可能性が高まりますが、水も出ない場合は、水道管や栓に問題があるケースがほとんどです。
ガスはつくか
水が出ることが確認できたら、今度は給湯器以外の設備でガスがつくかの点検をします。ガスが付かない場合、ガスの供給元が止められていて、ガスが来ていない可能性があり、それをチェックする意味合いがあります。
給湯器自体の故障でガスが付かない場合との見分けが一般の人には難しく、ガスがつくかどうかを確認する程度が無難です。
給湯器にエラーコードが表示されてないか
給湯器に何か問題があったときは、リモコンにエラーコードが表示される仕組みのメーカーがほとんどです。説明書に記載のあるエラーコードを確認して、どのようなトラブルが起こっているのかを照らし合わせましょう。
電気系統は問題ないか
ガス給湯器の場合であっても制御には電気系統が使われており、その故障や断線がお湯の出ない原因となっているケースも見られます。
お湯が出なくなって、上記の方法で確認しても原因がよくわからなかったという場合には、電気系統のトラブルも考慮しましょう。
水は出るが、お湯だけが出ないときの原因と対処法
給湯器のトラブルとしてよくある事例の中に「水は出るのに、お湯が出ない」というのがあります。そこで、お湯だけがでない原因や対処法について具体的に説明します。
水は出るがお湯が出ない
給湯器トラブルでよくあるのが「水が出るのにお湯になっていない」というトラブルです。お湯の蛇口を捻ってもお湯が出ず、水が出る場合にはお湯が作れていません。その場合は給湯器の故障が原因です。
給湯器の動作音がしていてもお湯が出てこない場合は、給湯器の故障を視野に入れて点検を依頼します。
お湯まで水の温度を上げる仕組みや構造のどこかにトラブルが生じている可能性があります。ただし、下手に給湯器に直接手を出すことのないようにしましょう。
一部だけお湯が出ない
部分的に1箇所や数カ所でお湯が出ない場所があるときは、「栓の故障」が考えられます。
栓が機能しないためにお湯が出る場所と出ない場所ができており、例えば、台所では出るのに2階のトイレではお湯が出ないといったことが起こりえます。この場合、水道業者に連絡をとって点検や修理を依頼します。
水もお湯も出ない
水が出ない場合に考えられる理由として、水道管トラブル以外にも水道そのものが止められてメーターが回っていない(栓が閉まっている)、アパートやマンションで断水が行われている、水道管が凍結して水が来ない、給湯器の水線が閉まっているなどです。
このうちの1つでも当てはまると、ガス給湯器からお湯どころか水すら出なくなります。
蛇口の故障や水漏れなどで満足に水が通らない場合は早い修理・復旧が必要となり、水道の元栓を締めるなどして対処し、蛇口交換や水漏れ点検などを通じて専門の水道業者に工事を依頼する必要があります。
稀に、水道料金の未納で水道そのものが止まってしまうことがあり、その場合には市区町村の水道局に連絡して料金を支払い、復旧の催促をする必要があります。
参考:水が出ない 東京都水道局より
お湯が出ない以外にガスが付かないときの原因と対処法
お湯が出ない場合で、給湯器の故障が考えられないときはガスが付くかを確認しましょう。ガスが付かない原因とは、具体的にどのような原因があって、具体的にどんな対処をすればよいのでしょうか。ここでは解決に必要な3つのポイントを説明します。
元栓の問題
ガスが付かないときの原因として考えられるのが、元栓が閉まっているなどの問題です。元栓を開かなければガス給湯器にガスを使えないため、手動で開栓状態にする必要があります。
最近はIH利用が増えており、コンロでも電気系統を使い、ガスを使わない家庭があります。そのため、ガス給湯器の使用時のみガスを使うというケースも少なくありません。
その場合に、元栓が閉まっていることに気づかず、ガスが使えないことがあるのです。元栓の問題は事前にわかってさえいれば栓を開くだけなので比較的解決が容易な問題でしょう。
ガスの遮断
次に、元栓ではなく、メーターのほうで安全装置の機能が働き、ガスを遮断してしまうケースです。ガスを遮断する理由は圧力低下や長時間の使用、ガス漏れなどさまざまですが、ガスメーターを使用して復旧作業を行います。
よくある方法としてはガス器具をすべて止め、さらにガスの器具栓を閉めて、遮断弁の開操作を行うことで復旧処理するというものです。
場合によってはガス会社への連絡が必要になるケースもあり、その辺は利用しているガス会社のガス取り扱い指針に従いましょう。
ガス切れ
プロパンガスの家庭では交換作業が定期的に行われていますが、1日の使用量が多いとガス燃料不足に陥ることがあります。その場合、ガスが使えずお湯にならないことも考えられます。
故障などでお湯が使えないわけではないため、安全性に問題はありません。まずはガスを交換している契約先の業者に連絡を取り、プロパンガスの交換を依頼するのが解決策としては手っ取り早いでしょう。
参考:ガスが出ないときは 東京ガスより
給湯器にエラーコードが表示されている場合の対処法
給湯器にエラーコードが表示されることがあります。ここでは、エラーコードが表示された場合の対処法について取り上げます。
リセットする
給湯器にエラーコードが表示された場合の一般的な対処法は、エラーコードのリセット(解除)です。最初に給湯器の稼働を停止して、リモコンパネルの電源を切ります。
その後しばらくしてパネル電源を再起動し、エラーコードが消えているかを確認します。この時エラーコードがリセットされて通常の表示に戻っていれば問題が解消したといえます。
コードの多くは電源を切って再操作することでリセットできるものが多いため、基本はリセットでたいていのエラーコードはなんとかなるでしょう。
しかし、エラーコードが何度電源を落として試しても改善されない場合は、エラーコードが意味する問題を説明書から参照してチェックします。
エラーコードをメモし、メーカーや購入先に連絡
エラーコードがリセットできない場合、給湯器に深刻なトラブルが生じている可能性があるため、メーカーに連絡するなどして、エラーコードを伝えましょう。エラーコードによってはすぐに業者からスタッフが派遣されて修理や交換などが必要になるケースもあります。
さらに、エラーコード以外にも同時に他の問題が生じることもあるため、スタッフの点検・修理を実施し、必要な修理や交換などの判断を仰ぐと良いでしょう。
電気系統のトラブルの原因と対処法
給湯器は本体のガス給湯システムだけで動いているわけではなく、さまざまな周辺機器と連動して温度の制御や各種機能を実行しています。
その場合、給湯器が電気系統のトラブルによってもお湯が出ないことがあります。そこで、電気系統のトラブルでよくある3つの項目について説明します。
リモコン
給湯器でお風呂のお湯などを沸かすときにリモコンが設定温度の起点となることが珍しくありません。
リモコンの電源が付かないとそもそも温度設定など給湯システムに必要な情報を送れず、お湯が沸かせないのです。
リモコンなどの電気系統がトラブルによって使えない原因は、配線の断線や落雷後の安全装置の起動で電源が付かないなどが挙げられます。
配線が原因の場合は電気系統のトラブルに対処できる施工業者にリモコンパネルの配線修理を依頼するか、電力会社に連絡を取りましょう。安全装置が作動しただけの場合は、電源プラグをリセットすればまた使えるようになります。
コンセントまわり
給湯器本体が稼働しない原因の一つにコンセントまわりの不具合や故障が挙げられます。よくあるのはコンセントがきちんと奥まで接続されていない場合や外れている場合などです。
ガス給湯器には電気系統の制御で温度調節などがされているため、抜けているとうまくお湯が沸かせないことがあるのです。
対処法としては、コンセントやその周囲の電気配線に問題がないかを確認することです。コンセントが外れている場合、入れるだけで復旧する可能性もあるでしょう。
ブレーカー
すでに給湯器には電源が必要なことを述べましたが、それは電化製品と同じように家の電気が使える状態になっていないといけません。
電気配線やコンセントに問題がなくてもブレーカーが落ちていたり漏電で安全装置が起動し停電が発生したりしていると、給湯器が使えなくなるのです。
電気系統が問題にもかかわらず、配線やコンセントに問題が見つからない場合は、ブレーカーが落ちて電気が使えなくなっていないかを確認しましょう。
こんなときお湯が出ないことあります…
上記に挙げたトラブル以外にもお湯が出なくなることがあります。それには特殊な状況下で給湯システムが機能しないといったことが原因です。ここでは特殊な4つのお湯が出ない原因について紹介します。
夏場にお湯が出ない
給湯器は水をお湯に替えて使うガス器具ですが、お湯を出すためには十分な水量が必要となります。夏場、何かと水が必要になる季節で同時に水道を複数使っていると、給湯器に入る水が不足することがあります。
特に、夏場の水不足で市区町村の水道から出る水の量に制限がかかっている場合、自宅で使える水が不足し、給湯器に回る水はさらに少なくなるでしょう。
その場合、夏場にお湯が出ないということが起こり得るのです。もちろん、夏になったからお湯が使えなくなるというわけではなく、あくまでも条件や給湯器の号数などに影響されるため絶対ではありません。
寒波による凍結の可能性
給湯器は室内にお湯を届ける配管と外部に露出する機器や配管部分があります。そして、外に露出する部分が寒波の到来などによって凍結することがあります。一度、給湯器につながっている配管が凍結するとお湯が出なくなります。
基本的に給湯器内部はヒーターで凍結することがなく、予防ヒーターが起動する製品も増えているため、問題は外部露出している方です。凍結の際は、外部露出する配管を温めるなどして凍結の予防や凍結後の自然解凍などを促す必要があります。
給湯器はこの凍結状態が自然に解消されない限り、本体がお湯を出すための運転をすることができません。特に、普段寒くならない平野部で突然の寒波から凍結する場合、普段から予防策や解決策を知らないことも多いため、給湯器の凍結には注意しましょう。
自然災害(地震や大雨、台風)の後にお湯が出ない
ガス給湯器は壊れていないのに、自然災害の後にお湯が出ないといったトラブルが生じることがあります。例えば、地震の場合にガスの供給が自動遮断されてしまいお湯が出ないなどです。
給湯器は正常でも、ガスがなければお湯は沸かせません。地震の場合、停電やガス管の破裂など、ガスの遮断以外にもお湯を出せない理由はいくつも存在します。特に水道管の破裂で水が出ない場合は、給湯器の有無に関係なくお湯どころか水も出すことはできないでしょう。
台風や大雨の場合、給湯器の安全装置が働いて運転できないようになっているというケースもあるため、故障でなくてもお湯が出なくなるのが自然災害と覚えておきましょう。
エラーなしの不具合
給湯器はお湯が出せない状況からいくつかのパターンにエラーコードをメーカーが設定しており、リモコンのパネルからそれを確認できるようになっています。
しかし、エラーが出ていなくても給湯器からお湯が出ないこともあります。給湯器にかなりの年季が入っており、本体の不具合でお湯が出にくいなどといった問題です。
給湯器のトラブルが解決しない場合の対処法
上記の原因や対処法から手を尽くしても給湯器のトラブルが解決しないときは、以下の2つの対処法を施します。
保証期間内の場合はメーカーへ問い合わせ
所有している給湯器の型番やエラーコードなどを控えて、メーカーに故障したことを伝えて保証期間内であれば無償の修理や交換を依頼します。
問い合わせ先はメーカーごとに決まっており、保証のある場合の連絡先を調べて問い合わせフォームやメールなどを送ります。
電話で問い合わせ可能な場合は、修理を前提とした対応が行われることも踏まえ、先にどうするか決めておくとメーカーとの電話でのやり取りが楽になるでしょう。
専門業者へ相談する
給湯器トラブルは修理・交換を専門に行う業者もあるため、安く依頼したい場合は専門業者へ相談するという手もあります。
メーカーやガス会社に直接問い合わせると割高な修理費用の請求や交換費用がかかり、家計を圧迫してしまうからです。
ただし、連絡する業者には、押しつけや勧誘を作業中や作業後にされないために、優良業者を探して事前にチェックしておく必要があるでしょう。
まとめ
今回は給湯器のお湯が出ないときに確認したい4つポイントから原因と対処法について紹介しました。トラブルの原因を知り、その対処法を把握することでいざというときに慌てず問題点を確認できます。
手動で問題ない場合は解決策を実行し、素人の手には負えない問題は業者を頼るなどして、適切に修理や交換などを進めるなどします。
また、給湯器からお湯が出ない原因には、一般的な故障やトラブル以外にも寒波による凍結や自然災害などの可能性があるため、お湯が出なくなったときの状況や環境などを考慮すると、トラブルの原因を探し出せる手がかりとなるでしょう。